2007年05月19日
映画「ハンニバル・ライジング」 サスペンスとホラーの饗宴
今、公開中の映画「ハンニバル・ライジング」を見に行ってきました。

1993年の第一作「羊たちの沈黙」以来、これで4作目な訳ですが、衝撃的なデビューを飾った1作目に、かなわないのは無理もないとしても、2作目よりは、はるかに良く、3作目とは同じ位、見方によればよりよいと行ったところでしょうか。
アンソニー・ホプキンスが登場しないのは、まったくもって残念というほかありませんが、いい映画に仕上がっています。スリリングとサスペンス、そして、背筋にぞくりとする猟奇性。
作者のトマス・ハリスですが、「羊たち、、、」のヒット以来、続けて続編を世に送り出しますが、この「ハンニバル・ライジング」も含めて、執筆はスムーズにいったわけではけっしてなかったようです。とくに、2作目のまえには、長期にわたって消息不明だったとか、、、。
いったい、どこで何をしてたんでしょうね?作品が作品だけに、なんか、怖いでスゥ。
ちなみに、トマス・ハリスの写真をみたことがありますが、とてもこんな残酷で恐ろしい小説を書くとは思えない、穏やかな笑顔が印象的なサンタクロースみたいなおじいさんでした。で、でも、そのギャップが、、、。
ハンニバル・ライジングは、題名どおりカニバル(食人)殺人鬼ハンニバル・レクターの出現の「物語」です。「物語」であるから、ナイーブな美少年ハンニバルがカニバル・レクターへと変貌する起承転結が語られる。原因と結果がある。だから、恐ろしい話しではあるけど、理解ができる。
でもね、ちょっと、考えてみてください。いまの世の中って、理解できないような異常な猟奇事件が多発している。レクター博士の殺人と人食いについても、それは確かに異常でおぞましい出来事ですが、現実の事件は、とっくに、そんなフィクションをはるかに越えたところに行ってしまっていると思いませんか?
だって、幼馴染で仲良くしていた男の子の首を切りおとして、学校の校門にさらしたり、何の罪もない小学児童を教室でめった切りにしたり、母親の首と右腕を切断して、植木鉢に植えたり、、、まったく、信じられません。
なにが、恐ろしいって、そこには映画のようなストーリーがない。ストーリーとは、起承転結、原因と結果すなわち因果関係です。
なんとなく人を殺したかった。そこにたまたま母親が訪ねてきた。だから殺害した。因果関係が成り立っていない。あるいは、一応原因と結果があったとしても何か根本が狂っている。
この世界は、原因と結果により構成されており、だからこそ、私達は、予測可能性という安心を得て、平和に暮らせるはずなんですけど、最近の異常事件は、その不条理さ(まともな理由・原因のなさ)によって、犠牲者だけでなく、私達が生きている世界の、もっとも根幹的な部分を、否定し、攻撃しているのだと思います。
しかし、もっと恐ろしいことは、こうした異常事件が、あまりにも多発するために、私達の感覚が麻痺しつつあるということです。
先週、朝の8:30、東京駅のプラットフォームは、ものすごい混雑でした。通勤客で混み合うホームの端を、急いでいたのでしょう、駆け足で移動する36歳の男性サラリーマンがいたのです。しかし、人ごみのなか、何かにつまづいた拍子に、かれはホームから京浜東北線の線路に転落してしまう、そこにちょうど、列車が滑り込んできて、、、。
ちなみに、わたしは、この日、8:25分ころに東京駅で京浜東北線に乗り込んだのでした、、、。
まったく、ひどい事故でしたが、この死亡事故についての世間の注目の度合いは、事故そのものに劣らず、ひどいものでした。
当日のお昼のニュースでは、血だまりの痕がうっすらピンク色にのこる線路の映像とともに、男性会社員の死亡と、その後の京浜東北線の不通、推計1000人以上に影響が生じたことが報じられました。しかし、夕方には、テレビではどこも取り上げなくなってしまった。まるで、不注意で運の悪い男の死などには、さしたる価値もないと言わんばかりに。
ホームからの転落事故というのは、実は非常によくおこっているようです。特に、目の不自由な方が、反対車線に入ってきた電車の音を勘違いして、線路に転落するケースが多い。つい先日も、そうした状況で、年配のご夫婦が亡くなっています。鉄道会社の合理化によって、ホームを整理する駅員の数を減らした影響とも考えられます。
でも、電車のホームという、きわめて日常的な空間で、異常な状況でおきている人の死というものについて、社会は、つまるところ私達は、事件当日の夕方までもたない程度にしか、関心がない。
次は自分かもしれない、ありふれたシチュエーションでの、ありえない死について、いつのまにか何とも思わなくなってしまっているわけです。
気にするとしても、人身事故のため、電車が止まり、渋滞と猛烈な混雑が起きたことに不平をもらす程度、、、。
ハンニバル・レクターは、映画の中ではなくて、実は、ごく身近にいる。ひょっとしたら、私の、そして、あなたの中にもね。

by らいおん

1993年の第一作「羊たちの沈黙」以来、これで4作目な訳ですが、衝撃的なデビューを飾った1作目に、かなわないのは無理もないとしても、2作目よりは、はるかに良く、3作目とは同じ位、見方によればよりよいと行ったところでしょうか。
アンソニー・ホプキンスが登場しないのは、まったくもって残念というほかありませんが、いい映画に仕上がっています。スリリングとサスペンス、そして、背筋にぞくりとする猟奇性。
作者のトマス・ハリスですが、「羊たち、、、」のヒット以来、続けて続編を世に送り出しますが、この「ハンニバル・ライジング」も含めて、執筆はスムーズにいったわけではけっしてなかったようです。とくに、2作目のまえには、長期にわたって消息不明だったとか、、、。
いったい、どこで何をしてたんでしょうね?作品が作品だけに、なんか、怖いでスゥ。
ちなみに、トマス・ハリスの写真をみたことがありますが、とてもこんな残酷で恐ろしい小説を書くとは思えない、穏やかな笑顔が印象的なサンタクロースみたいなおじいさんでした。で、でも、そのギャップが、、、。
ハンニバル・ライジングは、題名どおりカニバル(食人)殺人鬼ハンニバル・レクターの出現の「物語」です。「物語」であるから、ナイーブな美少年ハンニバルがカニバル・レクターへと変貌する起承転結が語られる。原因と結果がある。だから、恐ろしい話しではあるけど、理解ができる。
でもね、ちょっと、考えてみてください。いまの世の中って、理解できないような異常な猟奇事件が多発している。レクター博士の殺人と人食いについても、それは確かに異常でおぞましい出来事ですが、現実の事件は、とっくに、そんなフィクションをはるかに越えたところに行ってしまっていると思いませんか?
だって、幼馴染で仲良くしていた男の子の首を切りおとして、学校の校門にさらしたり、何の罪もない小学児童を教室でめった切りにしたり、母親の首と右腕を切断して、植木鉢に植えたり、、、まったく、信じられません。
なにが、恐ろしいって、そこには映画のようなストーリーがない。ストーリーとは、起承転結、原因と結果すなわち因果関係です。
なんとなく人を殺したかった。そこにたまたま母親が訪ねてきた。だから殺害した。因果関係が成り立っていない。あるいは、一応原因と結果があったとしても何か根本が狂っている。
この世界は、原因と結果により構成されており、だからこそ、私達は、予測可能性という安心を得て、平和に暮らせるはずなんですけど、最近の異常事件は、その不条理さ(まともな理由・原因のなさ)によって、犠牲者だけでなく、私達が生きている世界の、もっとも根幹的な部分を、否定し、攻撃しているのだと思います。
しかし、もっと恐ろしいことは、こうした異常事件が、あまりにも多発するために、私達の感覚が麻痺しつつあるということです。
先週、朝の8:30、東京駅のプラットフォームは、ものすごい混雑でした。通勤客で混み合うホームの端を、急いでいたのでしょう、駆け足で移動する36歳の男性サラリーマンがいたのです。しかし、人ごみのなか、何かにつまづいた拍子に、かれはホームから京浜東北線の線路に転落してしまう、そこにちょうど、列車が滑り込んできて、、、。
ちなみに、わたしは、この日、8:25分ころに東京駅で京浜東北線に乗り込んだのでした、、、。
まったく、ひどい事故でしたが、この死亡事故についての世間の注目の度合いは、事故そのものに劣らず、ひどいものでした。
当日のお昼のニュースでは、血だまりの痕がうっすらピンク色にのこる線路の映像とともに、男性会社員の死亡と、その後の京浜東北線の不通、推計1000人以上に影響が生じたことが報じられました。しかし、夕方には、テレビではどこも取り上げなくなってしまった。まるで、不注意で運の悪い男の死などには、さしたる価値もないと言わんばかりに。
ホームからの転落事故というのは、実は非常によくおこっているようです。特に、目の不自由な方が、反対車線に入ってきた電車の音を勘違いして、線路に転落するケースが多い。つい先日も、そうした状況で、年配のご夫婦が亡くなっています。鉄道会社の合理化によって、ホームを整理する駅員の数を減らした影響とも考えられます。
でも、電車のホームという、きわめて日常的な空間で、異常な状況でおきている人の死というものについて、社会は、つまるところ私達は、事件当日の夕方までもたない程度にしか、関心がない。
次は自分かもしれない、ありふれたシチュエーションでの、ありえない死について、いつのまにか何とも思わなくなってしまっているわけです。
気にするとしても、人身事故のため、電車が止まり、渋滞と猛烈な混雑が起きたことに不平をもらす程度、、、。
ハンニバル・レクターは、映画の中ではなくて、実は、ごく身近にいる。ひょっとしたら、私の、そして、あなたの中にもね。

by らいおん
Posted by Equinox at 09:47
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「ハンニバル・ライジング」★★★☆
ギャスパー・ウリエル 、コン・リー 主演
ピーター・ウェーバー 監督、2007年、フランス
芸術を愛し、美食家、
驚くべき知能の高さと
反面...
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「ハンニバル・ライジング」美しい顔に飛び散る鮮血!【soramove】at 2007年06月02日 22:55



